第10章

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私は、益田さんが読んでいた本を手に取った。 あっ、これ読んでたんだ。 この本、泣けちゃうだよな。そうそう、ここのところが…、と思いつつ、読み耽る。 『咲子ちゃん、終わったよ。』 益田さんが、近寄って来てることも気付かず…。 『咲子ちゃん?』 声を掛けても、振り向かない私を不思議に思ったのか、本を優しく持ち上げた。 益田さんに、見つめられ、固まる私。 そっと、指で涙を拭ってくれた。 『何度読んでも、泣けちゃって…。』 私は、やっと思いで、声を発した。
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