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私は、益田さんが読んでいた本を手に取った。
あっ、これ読んでたんだ。
この本、泣けちゃうだよな。そうそう、ここのところが…、と思いつつ、読み耽る。
『咲子ちゃん、終わったよ。』
益田さんが、近寄って来てることも気付かず…。
『咲子ちゃん?』
声を掛けても、振り向かない私を不思議に思ったのか、本を優しく持ち上げた。
益田さんに、見つめられ、固まる私。
そっと、指で涙を拭ってくれた。
『何度読んでも、泣けちゃって…。』
私は、やっと思いで、声を発した。
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