一章 帰郷そして邂逅

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「若旦那様。アデア様がお帰りなりましたぁ!」  メイドの一声にギャナツェン=マキナ=フロウは落ち着いた動作で口をつけようとしたティーカップを口から離して机の上に置いた。 「なに、あの馬鹿弟が戻って来たのか?」 「ハイ!そうですよ。あのアデア様です………ギャナツェン様はあまり驚いてませんね。愛しの弟様が五年ぶりに帰ってきたというのに」  ギャナツェンはメイドの言葉にコメカミを軽く震わせながら口を開いた。 「………あいつを訪ねて来た知人らしいお嬢さんがいてな。近々、帰ってくるとは思ってはいた。それと言葉には気をつけろよアリシア。また給金を下げられたいのか?」 「………へぇ、アデア様もなかなか隅に置けないなぁ………って、か、勘弁してください。あの時は本当に大変だったんですから」  アリシアはみるみるうちに顔を青ざめていった。ギャナツェンは溜め息を吐きつつ椅子から立ち上がった。 「………まぁ、いい。あいつの所へ案内しろアリシア」 「は、はいっ。了解しました!」
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