始まり

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門を通って、大和兄ちゃんについていくと玄関前に、新入生のクラス表がどどーんと貼ってあった。 大和兄ちゃんは1年のほうを、見つめ 「あった」と言った。 見つけるの早っ。 背が高くて目もいいと、こうも違うのか。 私、まだ見つけようとすらしてないよ? そう思っていたら 「1組だって。 おれの隣の教室。」 と大和兄ちゃん。 え、お兄ちゃん2年生じゃ…? 「階は、学年じゃなくて組で分けられてる。 言わなかったっけ?」 「いや、全然。」 「んじゃもう1個言っとく。 1組だけは、3年間顔ぶれ変わらないから」 「…ん?」 「なんか特別クラスらしいよ。 近くまで一緒に行くか?」 「…あ、うん」 私が曖昧に頷くと、お母さんが心配そうにしている。 そんなお母さんに大和兄ちゃんは、 「あ、母さんはこっち曲がって左に体育館あるから。 そっちに行ってね」 と促した。 お母さんはハッとした顔をして、 「分かったわ! あとでね!」 と体育館に駆けて行った。多分、近くの席をとりたいんだろう。 いつもそう。近くで、私たちの成長を見守ってくれている。 大和兄ちゃんが、 「おう」と言い終わらないうちに、お母さんの後ろ姿は見えなくなった。 私はまたもや声を出す気分になれず、歩き出した大和兄ちゃんにとぼとぼついていった。 道中は、 …やっぱりなんか陰謀があるんじゃないかな? だって私が特別クラスだよ? 絶対おかしいって! と心の中で叫んでいた。 だって私、自分でも思うけど... 良くも悪くも平凡です。
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