始まり

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緊張して覚えてないけど、式は滞りなく終わり教室に先生なしで帰ることに。 山下くんがいてよかった。 そう思いながら帰っていると、孝くんがはっとした顔をした。 何かな?と思っていたら、 「僕、自己紹介忘れてたよな! えっと山本孝です。 梓と同じ名字なんで、孝って呼んでほしいかな」と。 直紀くんがああ…という顔をして、 「そういえば、山本さんと名字同じだな。 分かった、孝って呼ぶ。 あと山本さんも梓でいいかな? ややこしいからさ…」 「あ、もちろんだよ!」と笑う私。 「それはよかった。 俺も自己紹介するな。 山下直紀(やましたなおき)です。 呼び方は好きなように!」 「んじゃ僕直紀で!」と孝くん。 「私は直紀くんにしとこうかな…」と私。 「おっけ。 ってか、これ俺ら一番乗りじゃね?」と直紀くん。 「あ、ほんとだ みんな迷ってるのかなあ…?」 「どうだろ? まあ直紀みたいなやつ、他にもいるだろ 多分大丈夫じゃない?」と孝くん。 「俺みたいなのが普通なの! 2人とも覚えろよ?」 と直紀くんに怒られた。が、 「「え…自信ない」」 と孝くんとハモる私。 「こら!」と直紀くん。 直紀くんって結構面白い。 「あはは、ごめん努力する!」 と全く努力する気がなさそうな孝くん。 「…はあ。 しばらくは校内探検か」 直紀くんが、深いため息と共に吐き出した言葉に孝くんが食いつく。 「あ、それいいな!楽しそう」 「まあ…な。」 とうっすら笑う直紀くん。様になりすぎな顔だと思う。 「だろ?どうせなら楽しくやろう! あ、あとさ連絡先交換しよう♪」と孝くん。 「おっけ。 じゃ送って。梓も送ってくれる?」 「分かった。 …はい、完了」 「よっしゃ、これでいつでも遊べる」と孝くん。 「はは、気ぃ早すぎ」と直紀くんが笑う。 私も少しだけ笑った。 「まあいーじゃん あ、みんな帰ってきたみたいだ」 そうやって孝くんが言うと、クラスのみんなが入ってきた。 先生もすぐやってきて、HRがはじまった。 私は少しだけ、高校生活への不安がなくなっていくのを感じた。
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