始まり

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そうやって家族の容姿に、想いを馳せていると陽兄ちゃんが目の前にいた。 「梓、荷物置かないの?」と私に向かって手を差し出している。 おっとっと、忘れてた。 荷物を下ろして陽兄ちゃんに渡すと、部屋の前まで持って行ってくれる。 小さいときからそうだ。 陽兄ちゃんは、妹からしても本当によく出来ている。 私が陽兄ちゃんを絶賛している間に、大和兄ちゃんが椅子に座っており、お母さんはお茶を出していた。 私も座らなきゃ。 大和兄ちゃんの右隣、お母さんの前が私の定位置。 陽兄ちゃんがお母さんの右隣に座って、手をあわせる。 そしてみんなで、 「「「「いただきます」」」」 これが我が家の習慣で、ご飯は毎回こうする。 誰かが用事でその場にいなくても変わらない。 外では手をあわせるだけだけど、私はこの習慣が好きだったりする。
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