きっかけ

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しかし、ドアの前までくると私を盾にするように押し出す2人。 何、恥ずかしがってるのかなぁ… 女の子じゃあるまいし。 するとお兄ちゃんが私を見つけ、後ろの2人に目をやる。 2人とも私の服をつかんだ。 ホントどうしたんだろ。 私が言わなきゃ始まらないかんじ。なんだこりゃ。 「えっと、お兄ちゃん。紹介するね。 こっちの黒髪色白の人が山本孝くん。 で、こっちの黒髪色黒が山下直紀くんだよ。 孝くん、直紀くん。 この茶髪茶色目色白のチャラそうな人が、私のお兄ちゃん。 山本大和っていうの」 そう言うとまっ先に孝くんが反応した。 「おはようございます、大和先輩。 山本と山下です!」と孝くん。 直紀くんは頭を思いっきり下げた。 大和兄ちゃんは、 「よろしく。 先輩とかつけないで、大和って呼んでくれていいよ。 梓は、ちょっと抜けてるんだけど仲良くしてやってね。 そのかわりに俺やもう1人の兄貴が、勉強とか見れると思うから。」 と悪口半分軽口半分で返していた。 2人ともさっきまでの恥ずかしがりようは放り出して、喜んでいる。 すると直紀くんが、ハッと思い出したように手を叩いた。 どうしたの?と目で問いかける私たちに、 「上のお兄さんって、陽一って名前じゃないですか? 以前、姉貴から話を聞いたことが…」 そう言う直紀くんに 「ああ、山下佳織って人かな、お姉さんって? 兄貴の卒アルにいたよ。兄貴も既に世話になってたか」と。 直紀くんは 「やっぱり! 山本陽一って同級生が、すごい頭いいから悔しいって姉貴が言ってて。 なんだ梓の兄さんだったのか。」 とまた喜んでいた。 「はは、勉強できるお兄さんいる人と友達なんて僕ら運がいいね。 梓となおさら仲良くしとかなきゃな😃」と孝くん。 もう!みんな言いたい放題なんだから[★] 私はおまけかっ! そう思っていると、やっと大和兄ちゃんが 「梓のこといじめるの、ここまでにしてやって?拗ねて大変だから…」 と笑いながら言った。 それでも既に拗ねた私は、みんなを無視して、教室に戻ることに。 大和兄ちゃんが、 「眉間にしわ寄せると、かわいさ半減だぞ~」 と言いながら孝くんと直紀くんに別れを告げていた。 …フォローになってないわよ。 そう思いつつも、眉間にしわが寄らないようにする自分がいた。 と同時に授業開始のチャイムが鳴った。
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