きっかけ

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そして放課後。 明日から授業、そしてコロニーの集まりがあるので今日は全校生徒が早く帰宅できる。 孝くんや直紀くんと雑談していると、「梓!」とお兄ちゃんの声。 教室の入り口に立って、手を挙げている。 方向音痴な私を心配して、入学して完璧に道を覚えるまではこうやって迎えにきてくれる。 孝くんと直紀くんも帰るからと、下駄箱まで一緒に歩く。 その間、住んでるところを教えあっているとみんな案外近いところに住んでいるらしい。 孝くんは私がいつも乗るバス停の三個手前に住んでいて、直紀くんは五個手前だった。 始発から終点の学校にくるまでは二十個バス停があるが、こんなに近いとは…。 ちなみに私がいつも乗るバス停は、最初から五個目なので結構乗っていることになる。 でも一律料金なので、学校が売ってくれる定期を買えばなんてことはない。 しかしまず校門までが遠いし、入り組んでいるから登下校は大変だ。 私が大和兄ちゃんについていくのに必死な間、孝くんと直紀くんは大和兄ちゃんと連絡先を交換していた。 笑いながら話す余裕も、私がついてきてるか確かめる余裕もあるらしい。 …方向音痴じゃなければよかった(泣) 絶対覚えてやると誓うと、やっと校門が見えてきた。
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