きっかけ

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家に帰ると陽兄ちゃんが、ご飯を作ろうとしているところだった。 「「ただいま」」 と2人揃って言うと、 「おかえり大和、梓。はい、貸して」 といつも通り手が差し出され、私も荷物を渡す。 そして大和兄ちゃんの隣に座って、テレビを見始めた。 一方の大和兄ちゃんは、はっと思い出したように陽兄ちゃんのほうを振り向き、 「兄貴ー、聞いてよ」 「なんだい?」 「梓がコロニーに立候補したんだぜ。すげぇだろ!俺びっくりした!」 と嬉しそうに話した。 陽兄ちゃんは 「ふーん、そうなんだ… ……え?今なんて?」 と野菜を刻んでいた手を完全に停止させた。 大和兄ちゃんは、 「だから!梓がコロニーに立候補したんだって!」と繰り返した。 それを聞いて陽兄ちゃんは、私のほうにすごい勢いでやってきておもむろに私を抱っこした。 驚いた私はじたばた暴れたが、すごく嬉しそうな陽兄ちゃんにはなんてことはないらしい。 そうしていると、お母さんが帰ってきて 「あらあら、どうしたの?」と聞いてきて、 大和兄ちゃんが陽兄ちゃんにした説明と同じことを言った。
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