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「射撃センスはお前の方が上なんだから、俺よりスナイパーに向いてるんじゃないのか?」
その問いに雑賀は首を横に振り、否定する。
「無理ですよ!自分は近距離射撃は得意ですが、長距離射撃は全然ダメなんですから。」
雑賀は近距離射撃はほぼ100発100中の腕を誇るが、長距離射撃となると隊の中でドベを誇っていたのだ。
「まあな。」
東郷もその事に関して頷くと、銃口の中にブラシを入れ、手入れを始める。
暫しの沈黙の後、雑賀は口を開いた。
「東郷2曹・・。自分達は実戦に出る事はあるんですかね?」
「ん?なんだ薮から棒に・・・。」
雑賀の問いに素っ気ない応える東郷。
「自分達は、有事の時は何時でも対応出来るように訓練しています。それなのに自分達は・・。」
「ま、出撃がないって事は、それだけ平和って事だからいいじゃないか。」
「しかし!自分は悔しいんです!半年前の事件だって!」
「半年前の事件か・・。確か犯人二人組による、銃乱射立て篭もり事件の事だろ?まあ、あれは警察のSATが鎮圧して解決したんだよな・・・。」
「結局自分達は、待機命令のまま終わってしまった。SAT隊員が2名も殉職したのに自分達は、指をくわえて見ている事しかできなかった。それが悔しいんです!」
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