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未来へ
散々くじけて 転んで
深く負った傷
紅く 黒く 刻まれた記憶は
癒せない程 鮮明で
従順に繰り返してきた 呼吸も
傷の前では 急ぎ足
いくつもの暗闇に遮られた
分かれ道から
足掻いて もがいて
通過点で見つけた 道標
僅かな輝きでも この瞳には
確かに映った
傷だらけの身体でも
孤独を抱えた記憶でも
確かに歩いてきた 道
ここに辿り着く為の傷だったなら
癒えなくても
誇らしい 絶望
散々悩んで 終わりを望んで
深く根付いた 黒い記憶は
ただ ただ 殻を造らせ景色を奪った
途切れた感覚
感じなくなった心は
黒い記憶を締め付けた
強く握った拳
微かな吐息と共に解けた
終わりへと向かう感覚の中
それでも瞳に映った 道標
嘘だらけの身体でも
一度途絶えた未来でも
確かに息をしてきた 場所
この道標を映す為の痛みだったなら
輝きすら覚える
誇らしい 記憶
今まで掴み損ねた 未来も
諦めてきた尊厳も
掴む事を指し示す 道標
どんなに僅かな輝きだったとしても
構わない
今 ここで 確かに呼吸を整えたから
その道標と共に
傷だらけの身体でも
孤独を抱えた記憶でも
確かに歩いてきた 道
ここから始まる為の傷だったなら
癒えなくても
誇らしい 絶望
傷だらけの心でも
孤独を知った両手でも
確かに感じる為にある ならば
掴む為にあるならば
これこそが傷を背負ってきた 意味
ほんの僅かでも
消えそうなくらい 微かでも
誇らしい 希望
この身に余るほど
眩しい 道標
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