【それぞれの夏】

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.  僕は五歳の頃から野球が好きだったんだ。  好きだったと言うよりは、父さんに仕込まれた。  毎日近くの公園で父さんとキャッチボールをしていた。  柔らかいビニールのボールを重たそうに持って、僕がピッチャーで、父さんはキャッチャー。 「夢歩(ユフミ)! えぇ球や、甲子園行けるわ」  嬉しかった。  父さんに甲子園行けると言われるのが、嬉しくて仕方なかったのを覚えてる。  父さんはプロ野球選手になれとは言わなかったんだ。  いつも、 「夢歩、甲子園に行け!」  と、言っていた。  理由は良く解らなかったけど、いつしか、父さんの言葉に洗脳されたかのように、僕は甲子園を目指すようになっていたんだ。 .
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