ある女のお話

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けれど、私は妻としては役たたずなんです。 料理ができません。 掃除ができません。 洗濯ができません。 裁縫ができません。 私は小さな狭い部屋から出ることができません。 定勝さんとも窓一枚隔ています。 触れることもできないのです。 私ができることと言えば、定勝さんの帰りを待ちお話相手になることぐらいです。 それでも定勝さんは私を愛してくれます。 ずっと一緒に生きていこう。 そう言ってくれました。 きっと私は世界中の誰よりも幸せ者です。 あらやだ……長い惚気話ですいません。
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