夏の思い出

9/10
前へ
/10ページ
次へ
僕は呆然とその場に立ち尽くしていた。 僕は絵の中の女の子を見て、そのまま空へと目を向けた。 彼女の瞳のような空に見つめられながら、これが失恋なのかなと思った。 家に帰り風呂に入った後、夕食を食べていると父が声を掛けてきた。 「どうした?元気が無いようだが、何かあったか?」 「べ、別に」 「そうか。ならいいいが、ところで明日はどうだ?」 「手伝うよ。朝から」 「そうか、分かった」 しかし、結局翌日の父の手伝いは無くなった。 どうやら台風は夜中に、突然急激な進路変更をしたようだった。 ニュースによると、小さな台風が突然大きな台風を巻き込み、引きずるように進路を変えたとの事だった。 「自分には自分の進路があるよね」僕は彼女の言葉を思い出した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加