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とてとてとて。
ばたん!
がちゃがちゃーん!
うわぁーーーん!!!
いつも通りの朝、いつも通りベッドの隣には上田の姿。
ただ一つ違ったのは、上田が小さくなっていたこと。
>> ちび上田
「もぅ、やだ」
「おれだってやだよー!うわーん!!!」
「ちょ、うるさい泣くな」
「っ、なかまるのばかぁー!!!」
怪獣みたいに声を大にして、ぎゃんぎゃん泣きわめく上田は、いつにもましてめんどくさい。
どうして小さくなったのかとか、戻る方法はとか、考えなきゃいけないことはたくさんあるんだけど。
とりあえず小さくなったものはしょうがないと現状を受けとめた。
カラダが小さくなったと同調して、精神年齢も若干低くなっていて。
腹減っただの眠いだの子ども特有のわがままを言い放っては泣きわめく始末。
自分の思い通りにならないと機嫌悪くなるのは慣れてるものの、それに加えて泣いて暴れるのは正直心の底からうんざりしてるわけで。
手伝いたいと皿を持ってくる途中、豪快に転んで割ってしまった破片を片づけながら盛大なため息を吐いた。
「ためいきなんかつかないでよ」
「じゃあ、大人しくしてろ」
「だって、」
「…なに」
「もうしわけないから、てつだいぐらいしなきゃとおもったんだもん」
「普段やりなれないことすっから逆に俺の仕事増やすことになんの」
「…。」
「もういいから座ってろ。あ、泣くなよ、まじめんどくせーから」
肩を落としながらとぼとぼとソファーに向かい、小さなカラダをさらに小さく丸めて腰を下ろした。
泣くのを我慢してんのか、小刻みに震えるカラダにもなぜかイライラして。
散らばった残りの破片を拾い集めると、距離を置くように寝室へと移動した。
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