疲れた

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疲れた

どうして母は私の言葉を理解してくれないのか。 私はただ放っておいてくれと言っているだけのつもりなのだが。 私はもう高校二年生なのだ。幼子のように母の言うこと全てに肯ける素直さはなく、しかしあのころよりは幾分一人の成人として、成長しているつもりである。 しかし彼女にはどうやら、私は変わらず四、五歳の幼子に映っているらしかった。口うるさいのである。それは日常的、生理的な営みに始まり、精神の安定を図るために購入する嗜好品に至るまで、彼女は自分の思い通りに私が動かないのを激しく拒絶している。 少し、話を変えたいと思う。先日叔父…母方の家の兄が、めでたく結婚をした。相手方の名前は一応伏せておく。(まぁ結構ありふれた名前なのでばれるとは思えないが)母方の祖母は農業を営んでいて、家庭菜園もしている。夏のこの時期になると、きゅうりやトマトなどの新鮮な夏野菜が無料でしかも、スーパーよりずっと安全で美味なのが手にはいる。 なので野菜を切らしては収穫にそこまで出かけるのだが、母はそこで、叔父の結婚相手に信じられない言葉を口にした。 「全くもー、この子親離れできなくて…あたしが言わないと何もできないんですよ?」 最初は、母の頭の異常を疑った。私が何時、貴様に依存したというのだ。むしろ貴様に依存して生きるぐらいならば、命を絶つ方がまだマシである。そうさせたのは貴様ではないか。 私は叔父の結婚相手の前であることを忘れかけ、激昂寸前で反論する。 「イヤ何言ってんの?子離れしてないのはそっちでしょ?」 母は、シカトを決め込んだ。 いつもそうだ。要らぬ時ばかり反論し、分が悪くなれば黙り込む。どっちが子供かわかったものではない。或いはどちらも子供なのかもしれないが。
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