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「あぁ言ったけど、まずはどうするか……」
窓際一番前自席で俺は、頭を抱えていた。翼が引っ越すまでは一月もない。
「そうだ!」
確か、ウチのクラスの天音が翼と仲良いって言ってたっけ。まずはそこから当たってみよう。そう思って俺は縦横に6列の正方形で並ぶ席の、廊下側から数えて縦4横2の場所にある天音の席に歩いていった。
「なぁ天音、ちょっといいか?」
「あぁ、大神くん。珍しいね、どうしたの?」
彼女が珍しいと言ったのは、俺が朝から誰と話すタイプではないからだろう。
「あぁ、翼……いるだろ。隣のB組に。そいつの事でちょっとな」
ぼかしもせずに本題を告げると、彼女は血相を変えて俺の手を引っ付かんだ。そのまま廊下へと連れ出された俺は、唖然と立ち尽くす。
「ふぅ……、ここなら良いわね。それで、翼ちゃんが引っ越す事でしょ?」
「あ、あぁ……。昨日それで呼び出されて、縁を切ってくれって言われた」
思い出すだけで昨日の憤りが蘇る。一晩経って落ち着いたとは言え、半ば今生の別れを告げられた衝撃は大きい。
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