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「……こう?」
天音は恐る恐る、拳を前に突き出す。俺はその拳に、自分のそれをぶつける。
「今日から俺たちは、友達だ」
「どうしたの、急に?」
「こういうのは、声に出すとより実感できるんだよ。絶対に翼を振り向かせてやろうぜ」
改めて、俺は天音に協力を求める。多分、彼女無しには翼は俺の方を向いてもくれない。
「えぇ。翼ちゃんに謝ってもらって、友達だって言わせてやるわ。そうじゃなきゃ、納得の行く別れなんて出来ないもの!」
翼が遂げようとしている別れは、悲しみしか残さない。そんな別れを、俺や天音が受け入れるとでも思ったか!
†
終業を告げると共に、昼休みの始まりを告げる鐘が鳴り響く。俺は昼食の入ったビニール袋を持って、我が校が誇るカフェテラスへと向かう。
「あっ。大神くん、こっちよ」
示し合わせた訳ではないのだが、彼女はそこにいた。俺たちが通うこの陸海高校には、カフェテラスが設けられている。購買部で購入したパンや弁当類を、そこで食べる為だ。それ以外に持参した物やコンビニで購入した物でも、そこで食べる事がある。言わば、昼食を食べるには人気のスポットなのだ。
「それで、天音の考えって何なんだ?結構自信ありそうだったけど」
彼女に何か考えがあるのは、確かだ。それはさっきの表情からでも確認する事ができる。
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