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謎の死は、新しい病気や宇宙人の仕業などメディアに大きく取り上げられたが、3ヶ月もすれば段々と世間はいつもの時間を取り戻していく。
姿を消した卑弥呼さんが言っていた『現実』という単語。
あれはどういう意味だったのだろうか。
それとは別に、はっきりとわかったことが一つ。
藤原優という人間がいるか警視庁に問い合わせを行ったところ、二年前に退職していることがわかった。
優君は、初めから嘘をついていた。
局長や土方さんの本名も聞いておけばよかったと後悔したが、いなくなってしまった今となっては調べようがない。
平穏とは言い難いが、48時間に一度はログインをしなければいけない強制ルールをこなしながら、徐々にブラックアウトの日常を取り戻し始める。
あれ以来、杏奈は俺達と行動をするようになった。
仁が予想出来なかったことが一つ。
新撰組は壊滅してしまったが、メビウスの輪に入っていた杏奈とチーム登録をしたことによってメインストーリーへの道は開けたかにみえたが、強制的にバグを起こしてチーム対抗戦から抜けさせたせいだろうか。
杏奈のクエストデータは、まっさらな状態になっていた。
現在、チームとなっている『ハルカ』はメインストーリーにはほど遠い状態である。
閉ざされたメインストーリーへの道。
唯一、形として残った物。
美沙の胸には、月の形をしたネックレスが光り輝いている。
天草さんからの言葉まま、俺は美沙へネックレスを渡した。
そんなある日の夜。
いつものように、“ログインするためだけ”に集まった俺の部屋で、仁が意外な提案を出した。
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