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「海外ー?」
まず先に美沙が、仁の言葉を聞いて驚きを表す。
この3ヶ月はログインだけを繰り返し、クエストや他プレイヤーとの接触を含めてゲーム自体は全く進行させずにいた。
確かにそろそろどんな形であれ、何かしら動いた方がいい。
それは間違いないのだが、予想外なのは“日本”だけではなく“海外”に行ってみようという内容だった。
その提案には、あまり物事に反対しなさそうな杏奈が珍しく難色を示した。
「仁くん。海外はね。私達のチームもあまり足を踏み入れなかったの。ほら。チーム登録していると、誰かがクリアすればチーム全体がクリアしたことになるでしょ?海外のクエストをクリアしていたのは神と三国志達だけで、他の人は足を踏み入れたことすらなかったんだ。何故なら……」
杏奈は真剣な表情で語り続ける。
「クエストレベルが圧倒的に高いから。さらに足を踏み入れただけで、強制的に始まるクエストも多い。日本は運が良いほうなのよ」
その言葉は、少なくとも寒気を走らせるのには十分だった。
「レベルが低いから」
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