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向かった先は、国の長がいる“国王の間”。
自分が帰ってきた事を知ってか、王は玉座に座って女性を待っていた。
その答えは正しく、王は女性の帰りを嬉しく思っていた。
女性は王の前まで辿り着くと、跪いて口を開く。
「ただいま日本から帰還しました」
王は早速、待っている間ずっと気がかりだった事を女性に質問する。
「リリル。よく帰ってきた。それで兄には会えたのか?」
「はい。やはり新撰組に紛れていました。私の正体は明かしていません。おそらくあの夜の事件にも加担しているでしょう」
その言葉で王の心の中には、喜びと同時に哀れみが湧き、複雑な気持ちに捉えられた。
「やはり。そうか……」
新撰組とメビウスの輪の戦争の事は、ブラックアウト内で発行されている新聞に嫌というほど書かれている。
王はそれらの情報を逃さないように、隅から隅まで目を通していた。
初のチーム対抗戦、予想以上に注目度は高かった。
八人だけだが、新撰組がメインストーリーに行く。
世界はそれを見守っていた。
だからこそ王も、あの夜の事件のことを聞いた時には、腰を抜かしそうなほど驚いた。
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