第6話

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放送室前の廊下。 「なぁ、なんか焦げ臭くない?」 「確かに。ここからだよな?」 2人の男子生徒が放送室前の廊下を横切ると、異臭に気がついた。 2人はドアを開け、部屋の中を見て驚く。 「火事だ!」 1人が叫んで、2人は職員室に急いで向かった。 20分後。 火はすぐに消され、火事はぼやですんだが、事件性も考えて警察官が来ていた。 小門はもしかしてと思い、立入禁止のテープが貼ってある、放送室を覗いた。 小門のもしかしては当たり、作業をする坪倉の後ろ姿が見えた。 小門は小さく咳ばらいすると、低い声で坪倉に話し掛ける。 「どうですか?」 「あ、はい―なんだ、建太郎か」 坪倉は振り返り、声の主が小門だと気付く。 「なんだはないやろ~?」 小門は勝手に放送室の中に入りながら言う。 「ちょ、入っちゃだめだって」 「なんか、わかった?」 小門は坪倉の注意を聞き流し、聞く。 「え?うん。火の元はたばこみたいだね」 「たばこ?放送室やのに?」 「うん。まだ燃えかすが残ってる。これ」 坪倉は、机にある燃えかすを指差す。 「どれがたばこか分かんの?オレには全部同じにしか見えへんけど。警察官ってすごいんやな」 小門はそう言いながら、燃えかすを触ろうとする。 「あっ、だめ!」 「え?」 小門は手を止める。 「危険なものとかあるかもしれないから、触らない方が良いよ」 「そうなんや」 小門は手を引っ込めると、話題を戻す。 「誰がやったんやと思う?」 「不審な人物が入ってくるのもなかったみたいだし、変な形跡もない。先生がやったって考えるのが妥当かな」 「やっぱ、先生か…」 「でも、学校って全面禁煙だよね?」 「そうやねん。…誰がやったんやろ……?」 小門は呟く。 そのことを考えているうちに、小門は坪倉から言われたことをすっかり忘れていた。 そして、小門は無意識に机の上にあるものを触ってしまっていた。 「いたっ!」 坪倉が小門を見ると、小門の指先からは少し血が出ていた。 「あー、もう何やってんだよ。だから、触るなって言ったのに」 「ごめん、由幸。どーしよ?」 慌てる小門だが、坪倉は冷静に対処する。 「かして?」 坪倉は小門の手首を掴む。 「え?」 坪倉はポケットから絆創膏を取り出すと、小門の指先につけた。 「はい」 そう言うと坪倉は、小門の手首を離す。 *
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