42人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
放送室前の廊下。
「なぁ、なんか焦げ臭くない?」
「確かに。ここからだよな?」
2人の男子生徒が放送室前の廊下を横切ると、異臭に気がついた。
2人はドアを開け、部屋の中を見て驚く。
「火事だ!」
1人が叫んで、2人は職員室に急いで向かった。
20分後。
火はすぐに消され、火事はぼやですんだが、事件性も考えて警察官が来ていた。
小門はもしかしてと思い、立入禁止のテープが貼ってある、放送室を覗いた。
小門のもしかしては当たり、作業をする坪倉の後ろ姿が見えた。
小門は小さく咳ばらいすると、低い声で坪倉に話し掛ける。
「どうですか?」
「あ、はい―なんだ、建太郎か」
坪倉は振り返り、声の主が小門だと気付く。
「なんだはないやろ~?」
小門は勝手に放送室の中に入りながら言う。
「ちょ、入っちゃだめだって」
「なんか、わかった?」
小門は坪倉の注意を聞き流し、聞く。
「え?うん。火の元はたばこみたいだね」
「たばこ?放送室やのに?」
「うん。まだ燃えかすが残ってる。これ」
坪倉は、机にある燃えかすを指差す。
「どれがたばこか分かんの?オレには全部同じにしか見えへんけど。警察官ってすごいんやな」
小門はそう言いながら、燃えかすを触ろうとする。
「あっ、だめ!」
「え?」
小門は手を止める。
「危険なものとかあるかもしれないから、触らない方が良いよ」
「そうなんや」
小門は手を引っ込めると、話題を戻す。
「誰がやったんやと思う?」
「不審な人物が入ってくるのもなかったみたいだし、変な形跡もない。先生がやったって考えるのが妥当かな」
「やっぱ、先生か…」
「でも、学校って全面禁煙だよね?」
「そうやねん。…誰がやったんやろ……?」
小門は呟く。
そのことを考えているうちに、小門は坪倉から言われたことをすっかり忘れていた。
そして、小門は無意識に机の上にあるものを触ってしまっていた。
「いたっ!」
坪倉が小門を見ると、小門の指先からは少し血が出ていた。
「あー、もう何やってんだよ。だから、触るなって言ったのに」
「ごめん、由幸。どーしよ?」
慌てる小門だが、坪倉は冷静に対処する。
「かして?」
坪倉は小門の手首を掴む。
「え?」
坪倉はポケットから絆創膏を取り出すと、小門の指先につけた。
「はい」
そう言うと坪倉は、小門の手首を離す。
*
最初のコメントを投稿しよう!