刃で

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私は激しい吐き気を覚え 口を塞ぐ 彼女は食道を通り胃を通り私の腹の中でグルグルと循環してるのだろう それでも、彼女は生きていると虚偽した もしも もしも 今から遅くないのなら 彼女の笑顔を見れるのなら… 私の腹を裂いて彼女がてで来るなら 私は己の腹に刃を合わせ 横に切り裂いた 飛び散るのは深紅色の赤い赤い血 出たのは彼女ではなかった あぁ あぁ 私は何て愚かな怪物だろうか… どんなに探し求めても彼女はいない 愛でてくれる愛しい彼女はいない 私は膝まずき暗雲に包まれた空を見上げた あぁ どうか許しておくれ… 愚かな私を許しておくれ… 愚かな怪物の意識は暗い暗い闇の底へゆっくりと堕ちたのだった 愚かで私欲の塊で出来た怪物は二度とその場を動くことはなかった
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