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「まぁ私も大人になったと言う事だ。
いや待ってくれ!何で私が必然的に昔は暴れていたと言うことになっている!?」
「いや、だって…
───────っ!」
なんだ!?
今の…
一瞬にして辺りが暗くなった…
「無礼者よ。」
「だっ誰だ!!」
暗闇から聞こえる感情のない声。
誰が、何処で話しているかが全くわからない。
梓もいない。
(どこだ!?ここはどこなんだ!?)
「ヘデス。ここはヘデスだ。」
「なっ!?」
(心の中を読まれているだと!?)
「貴様をここに連れてきたことには意味がある。
だが今教える必要はない。ただし、貴様には人間の一般的な数値を遥かに越える魔力が眠っている。
それだけはいっておこう。」
(オレにそんな力なんてっ…!)
「それがあるのだよ。
最後の忠告だ。
近松梓と話すときは細心の注意をはらうといい。
さもなくはまたあんな事が起きる。それだけだ。
ついでに貴様の魔力は全て回収させてもらう。」
「おっおいまてよ!
まだ話は終わってない!
あんなことってなんだよ!」
声は一瞬にして消え去った。
次第に、自分の声を出しても聞こえなくなってきている。
兩弥は静かに目を閉じた。
†
今見た光景が本当かわからない。
魔力?
そんなの…っ!
(あるわけ無いじゃないか…)
「兩弥ー?」
「ん?なんだ?」
「なんだじゃないわよ…全く、またあんなことになるかと思ったじゃないのよ…」
「あんなこと…
あんなことって言ったか?なんなんだそれは!?」
オレがそういった時だそう言った瞬間に目の前に黄色いテープが現れた。
そして、梓はそれに気付いていない。
いや、見えていないのだろう。
と言うことはこのテープが見えるのは自分だけとなる
「KEEP OUT…」
『近松梓と話すときは細心の注意をはらうといい』
(そういう事だったのか…)
「どうした?兩弥?」
「いや何でもない!
じゃあ俺かえるから!!
あっあとこれ返してもらうぞ」
オレは手に持つコアをとって梓に背を向けると、オレは全力で走った。
なんだ?何がしたいんだ?オレは…
逃げてるだけじゃないか。ただ、それだけだ。
きっと恐いんだ。
壮大な魔力。
梓との過去。関係。
そして一番大切な、なにか。
知っていたようで、実際は一ミリも知らなかった。
悔しかった。
自分が、この無能な自分が。
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