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桜の舞う春風が心地よい季節。
全ての家は瓦屋根。
人々の着ている着物によく似合うような家が建ち並ぶ。
空は青く澄みわたっていて、鳥が3匹列をなして飛んでいく……
この風景こそ此処の日常。
ただひたすらの日常の中、ある一軒の家から突然断末魔のような叫びが響いた…。
「き、きゃぁぁぁあ!!!!!!!」
その声の主は、碧と蒼の母親だった。
「ど、どうしたの…碧兄……!!!
瞳の…い、ろ…!!!!!」
『え…?な、に?』
碧兄が『母さん…』と呟き、近寄ろうとすると母は「ち、近付かないで!!!」と、力強く叫び拒絶した。
「碧兄、お母さん。いったい朝からどうした……の…」
母の叫び声で目が覚めた 弟の蒼は、兄さんの瞳の色を見て少しだけ驚いた。
「碧兄…水面(みなも)へ行こう。」
『う、ん…』
自分の身に何が起きているのか全く解らない状態の兄を連れて、家を出た。
家を出るまで母は震えて
「ま、禍罪の…こ、子供…」
と、狂ったように呟いていた。
そんな母の気を引こうと、弟らガラガラと音をたて、ドアを閉めた。
そして扉を越えて家を出たとき、弟にこう言われた。
「碧兄、今から僕がおんぶして水面に連れていくから、その間中目を閉じててね」
と、
『よく解んないけど、良いよ!目を瞑っとく!』
おんぶされた碧兄はぎゅうっ…と、目を瞑った。
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