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『蒼、大丈夫? 重くないか?』 「大丈夫だよ、碧兄。 僕達双子なんだから、そんな変わらないでしょ」 目を瞑りまるで寝ているような兄は、弟の背中に『ごめん』と言い 顔をうずめた。 家から水面までは遠くはなく、少し歩くと着く。 水面とは川や水の表面のことである。 同時、鏡という立派な物は無かった為 女性達は水面を利用して自分の姿を見ていた。 「さ、着いたよ。碧兄」 背中にいる碧兄を静かに立たせると、水面まで2人一緒に歩いていった。 『ありがとな』 「良いよ、そんなの」 水面まできて 碧兄 はやっと自分の顔を覗いて見た。 泣くかと思いきや、碧兄は笑い出した。 『ハハハ、こりゃ母さん…驚くな!瞳が緋いなんてビックリだ!!』 「碧兄、怖くないの?」 『怖いさ、怖いけど…… こうなっちゃったんだもん、仕方ないさ』 なんでも受け入れようとする碧兄の悪い癖。 弟はそんな碧兄を心配な眼差しで見上げていた。 「(僕も碧兄みたいに瞳の色、変わるのかな…?)」 一度 覚醒 してしまうと、普通には戻れない。 そのことを碧兄は身をもって知った。 『母さんに言って来て? 碧はこのまま學校に行きます。と』 「朝御飯は良いの?」 『蒼が持ってきてくれるだろう?』 碧兄は何処か苦しそうな笑みを浮かべ、弟を見ていた。 「解った」そう言って弟はパタパタと家へ帰っていった。
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