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「僕をどうするの?」
「お前が骨になる前に回収する。じゃないと悪霊とかになっちまうからな。だから、暫く時間はある。今すぐ死神界に行っても良いのならつれてく。おまえの好きにしていい」
「…」
「大体は二択にわかれる。名残惜しむか未練もない、か。たまに狂って手に負えない奴がいるが」
「…うん」
虚ろな答えしか出来なかった。
生きてもいない、でも死にきってもない。
中途半端な今の自分をどうしたらいいかわからなかった。
死神はただ、黙って此方を見てる。
そわそわしているようにも見えるし、逆に急かしているようにも見える。
だけど、何かを発する事は出来なかった。
そもそも、死に切れなかった理由がわからない。
未練の心当たりもなかったからだ。
すると男は、三本指を突き出した。
「3つ、願いを叶えてやれる。さっきの前者の選択をしたならな」
「何、それ」
「霊魂回収規則にあるんだ。死者を気持ち良く成仏できるようにな」
「…いいよ、別に」
「…まぁ、時間はあるんだ。俺も休みたいからな。ブラブラしてこいよ」
僕を通り抜けてベットの乗り、背を向けて横になり手をひらひらとさせた。
お気楽なもんだ。
所謂、サボりたいとかそういうことだろう。
することが特にないから、取り敢えず窓から出て屋根に上ってみた。
空気みたいに軽くなってすっと上がれた。
中々生身では上がるのは力が必要なのに。
風に流されることもなく、僕は屋根に寝転んだ。
目を閉じれば風になったみたいだった。
ただの表現だけの事だと思ってたけど。
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