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「…あんたを殺したい、って願ったら?」
「叶うと思うか?」
「自己防衛…」
「俺はもう死んでるよ」
あっさりと小さな笑顔を浮かべながら言った。
確かにそうだけれど、悲しみもせずに言えるものなのか。
「死んでるなんて…」
呟くように小さな声で言った。
すると、ゆっくりと現実が僕の背中を押した。
「…あ…」
僕も、じゃないか。
死んでいるんだ。
生きている感覚に錯覚していたのか、なんて思うと自嘲気味に笑ってしまった。
でも、忘れていたんじゃない。
自覚してなかった。したくなかったんだ。
心のどこかでは逃げたいって思ってたんだ、って誰に責められたわけじゃないのに言い訳がましくて、胸が苦しくなった。
情けなさに、格好悪さに。
この現実に。
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