満月の夜に

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夜。 夜である。 子供の頃、俺、三条タカヤは今はいない親父に「どうして夜に外へ出てはいけないのか?」と聞いたことがある。 親父は俺の頭をわしづかみにしてこういった。 「夜になるとな、とっても恐ろしい魔物が闇の世界からやって来て、タカヤを食べてしまうからだよ。」 お父さんも昔会ったことがある、とかなんとかいわれた俺は大層怖がって、絶対に夜に表には出なかった。 あれから時は流れて…高校一年の春 今さらそんな話に怖がる訳もなく、深夜にも関わらず外に出歩いていた。 今日も特に用もなしにコンビニへと足を運んでいる。 「今日もきれいな空だな」 それほど都会ってわけでもないので、空一面に星がキラキラ輝き、月はまんまると満ちた夜に…。 「おっと、ボールペンが切れてたっけか…。」 俺はボールペンとスナック菓子を購入し、コンビニをあとにした。
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