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帰り道、毎度同じ道をそのまま引き返す俺はいつもよりも人通りが少ないことに気づく…。
気味が悪い。
なんとなくそう思った。
たぶん、道の一角の街灯がチカチカ光ったり消えたりしているからだろう。
そんなことを思いながらその街灯が力尽きる様をみていた。
―バチバチッ…!
そのときだった。
道沿いの街灯が一斉に消えたのだ。
停電かとも思ったが、民家の電気はついている。
「貴様か…。問題のガキというのは…。」
後ろから図太い声と悪寒を感じた。
(なんだ…?)
俺は勇気を出して振り向く。
「う、うわあ!?」
俺は思わずドスンと尻餅をついた。
そこには170センチはある俺よりも、首ひとつ違う大男が立っていた。
フードを被っているので、顔はよくわからないが、突き刺すような目線と満月の光を反射して光る牙のようなものが見える。
「さあ、大人しく来てもらおう…。」
大男はそういって、毛むくじゃらで爪の尖った手をこちらに差し伸べた。
(ひぃいいいいい!!)
俺は声にならない悲鳴をあげた。
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