0人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから、パトカーがあんなに…」
俺は関係のないことだと思い、その話を聞き流した。
―パチンッ!
昇降口につくと、俺は唐突に指をならす。
「お前、まだやってんのか?指パッチンで下駄箱開けるやつ」
俺は中学時代、魔法使いに憧れて、学校の下駄箱の扉を手を使わずに指パッチンで開けようとしていた。
当然、手で開けるハメになるのだが、それからクセになってしまったのだ。
「タカヤ君もおこしゃまでしゅねー?」
先輩はそれを見るたびに馬鹿にしてくる。
「ほっといてくださいよ!」
自分でも今さら恥ずかしいとは思っているのだ。
上履きのスリッパに履き替え、先輩は二年生の、俺は一年生の校舎棟へとそれぞれの教室へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!