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『悪かったよ。あの時は。やっぱり俺には麗香しかいないよ』
あの時。
私がどんな思いをしたのか。
こんな簡単な一言で消せるような傷なんかじゃない!
「さっきの台詞…。
全く心がこもってないよね、どこにも。さようなら」
一方的に通話を終了させ、携帯をバッグにしまうと、目をパチパチさせたダイと視線がぶつかった。
「ごめんね、ダイ。
空気悪くしちゃって」
「い、いえ!大丈夫です!」
またシャンと背筋を伸ばした。
…脅えすぎだっつーの。
「さ、食べよー」
考えない、考えない。
嫌な事は食べて忘れよう。
何かで覆いかぶせて、塗り潰して、傷を隠すんだ。
「…あ、あのっ!!」
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