足元のバラ

１

「疲れてます？」

「全然」

ドリンクホルダーに殻になった瓶を置くと、ダイは心配そうに声をかけてきた。

いや、本当は疲れきってる。

だけど口に出しても誰も助けてくれる訳じゃないし。

ましてや後輩のダイになんて、絶対に頼れない。

「麗香さんって、本当に強いですよね！」

「………」

「絶対に弱音吐かないし」

昔は褒め言葉だと思っていた「強い」と言う言葉が、今では大嫌い。

弱音は吐けないだけで、私は強くなんかない。

いつの間にか周囲に甘える事ができなくなっていた。