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チクン。 ダイにそんな顔をさせてしまった事に、胸が痛んだ。 「でもそんな風には全然なれなくて、ただのお調子者だって言われるんですけどね」 暗くなった空気を払いのけるように、今度は茶化して笑った。 私って、本当にダメ人間かもしれない。 外見とか、仕事とか、外面ばかり褒められても、中身が伴っていない。 ダイがこんな気持ちでいた事なんて知らなかったし、興味も無かったし、自分の事だけを考えて感情剥き出しで怒ってきた。 自分に鞭を打って、男社会で闘って、可愛くない女になって、捨てられて、泣く事もできなくて、縋り付けなくて。 ……親友の結婚すら喜べなかった。 結局、私は自分を守りぬいただけの負け犬。
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