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エルに向かって、横なぎにナイフを振るう。「悪いね、お嬢さん」
エルは、左腕でナイフを受け止めた。普通ならば、彼女の腕は切れるはずであるが、しかし、鋭い音を立てただけで、腕は無傷であった。
「何故謝るのですか?」
エルがナイフを受けた部分には、小さな縦がつけられていた。コートで隠れていて、見えなかったのである。
そして、彼女の手には、拳全体をおおう、ナックルが装備されていた。
左手でナイフを払いのけ、右で、相手の鳩尾(みぞおち)を打つ。男は、小さく呻いて、倒れ込んだ。
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