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巨大な、コンクリートで造られた門をくぐる二人組。少女の方は、門番に挨拶をし、男性は、門番を見ることもなく、歩いていった。
「随分と、静かな国だね」辺りを見回し、エルは言った。
「そうだな」彼女の隣を歩いていたラークも同意する。「誰も歩いていない。物音も、全くしない」
エルがふざけるように言った。「この国には、門番三人しかいないのかな」
「それは面白い考えだな。ここ一帯の家は、全て、門番達のものか」
二人の歩く道の両端には、家が建っている。それぞれが、立派なつくりになっていて、色も、白や赤など、統一されておらず、どれも鮮やかである。
ラークが、一軒に目を留めた。「いや、人はいるな。窓が開いている」
彼が指を指し、それをなぞるように、エルが、示された家を見る。
「本当だ」とエルは言った。「やっぱり、誰か住んではいるんだね」
「他も見て回るか。どこか、人で賑わう地区があるかもしれない」
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