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「ねぇカナちゃん」
「……何?」
波川 哉太(ナミカワ カナタ)こと、僕はカナちゃんというアダ名が嫌いだった。まるで女の子みたいだからだ。
でもそんなアダ名を付けた張本人である、長谷倉 明里(ハセクラ アカリ)の事は大好きだった。
だから無視もできないし、かといってそのアダ名を喜んで受け入れる事もできやしない。
そんな複雑な幼稚園時代を送っていたある日、僕の両目は明里ちゃんの妙な憂いを帯びた顔を見た。
「カナちゃんはぁ……しょーらいおよめさんにするならだれがいい?」
「……まぁ、明里ちゃん、かな」
ぶっきらぼうに答える僕だったが、もちろんそんな質問に答えた時の内心もドキドキしていた。
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