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「か、解消するまでと言わず……ずっとここにいても……」
「え? ほ、本当か?」
「い、いえ、何でもないです! その、私自身が波川君に償いをしないと気が済まないので……」
確かに彼女はそういう人間だ。だからこそあの事件まではみんなの代表として誠実に振る舞ってきた訳で。
逆に俺はその立場を壊してしまった人間だと言える。そう考えると何だか申し訳ない。
「……まぁ、お前がそう言うなら俺はありがたいんだけど」
「はい、是非。……でも今日は勉強するの止めましょう」
「いや、やっぱりやる――」
「――いえ、今日は日曜日ですし、せっかくなので心機一転して明日から始めましょう。その代わり明日からみっちりしっかりやりますから!」
ぐっと有りもしない力こぶを見せて微笑む臨終の包容力はすごい。話していて安心する。
「お、おう」
だからこそ明日からの生活で、彼女との関係を変える。そして心の底から臨終が笑ってくれる日を待つ。
ようやく俺の止まっていた時が、一歩足を踏み出してくれたようだった。
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