第三症 贖罪依存と栄耀中毒

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そういえば以前彼女が不可解な体勢で寝ていた事があった。何かに怯えるように、ガタガタと震えつつ丸くなる彼女の姿。 異様だった。が、俺達の出会いもまた非凡だ。 追求を始めたら何から何まで聞かないと気が済まなくなりそうで怖い。 とにもかくにも彼女がぐっすり、安心して眠れていれば深く聞く事は止そう。それで平和だ、深入りは互いにしない方がいい。 俺だって聞かれたくない事はある。山程はないけど、谷のように深い事情が。 「あれ? 早いな、臨終」 凍てつく寒さとはこの事。まだまだ初冬と言えば初冬のこの時期、室内にも関わらず手を擦りながらリビングに出ると、そこにはもう臨終の姿があった。
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