【第一部 かつての世界と、文明の明日に心血を注いだ天才の話】

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普段、僕は新エネルギーシステムについての理論を構築するため一人で自室にこもっており、理論の真偽を確認するための実験等実証作業、いわゆる現場作業はクーと凡人たちに任せていた。 クーに任せていればうまくいくと妄信していた。 そのため、現場の様子を一切把握していなかった僕。 しかし、依然としてプロジェクトの進行状況は遅れたまま。 痺れを切らした僕が抜き打ちで現場に赴いたところ、広めの実験室にあったのは、思い思いに固まった凡人たちのグループが数個と、窓際の席に独りたたずむクーの姿。 無機質な顔で机上に置いたコンピュータのブラウザと向き合う彼女は、まるで機械のように感じられた。
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