【第一部 かつての世界と、文明の明日に心血を注いだ天才の話】

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生来のものなのか成長の過程でそうなったのかは定かではないが、クーは感情を表に出さない人物だった。 よく言えばクール。 悪く言えば鉄面皮。 彼女深く付き合わない限り、その印象は決して良いものにはならないだろう。 確かに僕は、彼女に人と人との緩衝役を担う適性がなさそうなことにはじめから気づいていた。 僕も人のことを言えるような明るい性格ではなかったが、過去の実績や経験から見るに、それでも彼女ならうまくやってくれると信じていた。 事実、彼女はこれまではうまくやってくれていたのだ。 それがこのざまだ。 期待はずれもいいところだった。 ( ^ω^)「使えない女だお」 閉じられた扉に向けて呟いて、僕はすぐに打開策を練り始めた。 合間に口に含んだコーヒーの味が、妙に苦々しく感じられた。
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