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プロローグ
超繊維のマントを風に翻し、茫洋と続く大地の上を男は歩いていた。
空は一面、どんよりとした灰色の雲。
荒れた大地に吹く風は強く、つられて舞い上がる砂埃に顔をしかめた彼だったけれど、南から吹いてきた風がむき出しの頬を撫でると、その暖かみに強張った表情をわずかに緩めた。
そしてもうひとつ。
男の後ろをトボトボとついてくる小さな影。
ボロボロの、ポンチョにも似た布切れを頭から被ったその影の正体は、背丈や体の大きさから察するに子供、もしくは女なのだろう。
影は男に引き連れられているというよりはむしろ無理やりついてきているといった風情で、正面から吹き付ける風を前かがみになってしのぎながら、絶対に離されまいと必死に男の背中に喰らいついていた。
草も木も無い赤茶けた色の大地の上で動くものは、その二人以外に存在しなかった。
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