プロローグ

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大地と一本の実のなる木。 かつての世界の書物の中に、そんな話があったっけ。 禁断の実を食べたアダムとイブが楽園を追放される話。 今の僕たちと良く似ている。 それならば、僕がアダムで彼女がイブで、この実を口にした僕たちは楽園を追放されるのだろうか? そんなはずはないか。 だって僕は、とうの昔に楽園を追放されているのだから。 自嘲して笑った男が手にした木の実から顔を上げると、彼の目の前には不思議そうな顔をした先ほどの女が立っていて、彼に向かってこう尋ねた。 「ねぇ、ブーン?あなたはいったい、どこまで歩くの?」
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