【第一部 かつての世界と、文明の明日に心血を注いだ天才の話】

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プロジェクトチームは行政関係を除けばごく少数の人員で構成されていた。 僕とクー以外のメンバーは天才でもなんでもない凡人の集まり。 僕が頭脳でクーが神経、そして他の凡人たちが手足として実際に動く。 人体の構造を模したチーム構成。 だから、頭脳たる天才は僕一人で十分のはずだった。 そこになぜもう一人クーという天才を加えたかというと、理由は単純だ。 優秀だから。 彼女がいなければ、これまでの僕の発見は数年遅れていたことだろう。 だからクーを加えた。それだけの話。 特別な感情なんて何もない。 事実と過去の功績だけを重視したドライな人事。 そこに感情を持ち込むことはタブーだと、この時の僕は信じていた。
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