非日常は突然に

6/7
前へ
/7ページ
次へ
「ねぇ? そういえばお腹すかない?」 と、帰り道にねだるように腕を引っ張りながら訴えてくる妹。たしかに、そろそろお昼だしメシにしてもいい時間になる。 「そりゃそうだけど、母さんがメシ作ってんじゃないの?」 「それがね? 誰かさんの手続きが長引きそうだからどっかで食べてきって、さっきメールあったんだよねー」 俺にはメールなしかよ! 「でね? 今日はお買い物付き合ってあげたんだし、お姉さんのおごりということで! ハイ決定! 異論なし!」 「ちょ、こら! 勝手に決めんなって! 」 しかし、反論虚しく聞く耳すらもってもらえず…… 「お店は、いつもの喫茶店でいいよね?」 行き先まで勝手に…… 年上の威厳とか全然なくね? 自分がとでも情けないっす…… しばらく歩くと学校が見え、その道をちょっと進むと喫茶店がある。この喫茶店は、叔母が経営したており、従業員も叔母一人。従業員は只今絶賛募集中とか。採用資格は可愛ければ誰でもらしい。そんなお店の名前は、「Cherry Garden」桜の庭とでもいいたいのだろうか? まあ、見た目は自然に囲まれてるし、桜の木も植えてあるし、まちがっちゃいないけど。 内装もまた、木材調になっていて、自然で落ち着いた感じになっている。 「こんにちわー」 早速入って、挨拶する。まあ、知り合いだしね。 「あいよー、いつものでいい?」 叔母こと、朝霧かなえは、こっちも見ずにそういう。因みにかなえさんは、うちの母さんの年の離れた妹である。 しかし違和感。そして次の言葉で確実に知らされる。 「久しぶりじゃない? 兄妹仲良くの来店なんて。」 ふふっと、悪戯っぽく微笑うその瞳は女の姿をした俺に向けて…… 「可愛いかっこしてるわね? 美鶴くん?」 と、一発で俺の正体を見破ったのだった。なんで知ってんの?
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加