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穏やかな朝日が降り注ぎ、小鳥の囀り(さえずり)が聴こえてくる、爽やかな朝の1シーン。
枕元にある、けたたましく鳴り続ける目覚まし時計を乱暴に止めて起き上がる。朝に弱い俺は、目覚ましが無いと起きれないが、だからと言って耳元で朝っぱらから大音量が響くのはさすがに気分がいいものでもない。
俺こと、朝霧美鶴(あさぎりみつる)の朝は変わらずこんな感じで、これからも変わらないと思う。
こんなんだから、目覚ましを少し早めに設定しているのだが、結局眠いものは眠い。
眠け眼を擦りながら洗面所へ向かう途中、ちんちくりんな妹こと、朝霧梓(あずさ)13歳の中学二年生とすれ違う。
しかし、兄妹間の仲は、あまり良好というわけでは無いというか、年上の俺に向かって、「お腹空いたから、コンビニで何か買ってきて、5分以内で」とか、タメでパシるような奴で、普段は目も合わせようとしない。
それなのに、この女王様みたいな妹様は俺の方をなぜか振り向いたまま、無言で見つめ続ける。さながら、「あの人誰?」と、視線で語っているかのような……
新手の嫌がらせかでも思いついたのか知らないが、関わるだけで精神力の無駄なので、敢えてスルー。朝から無駄な体力消費は抑えておきたいからな。
そんなこんなで、妹様の謎行動には疑問は持ちつつも、洗面台で顔を洗ってさっばりする。
冷たい水を数回浴びて、ようやく身体が目覚め始める。そして、こんなもんかな? と、鏡を見て気付く。
誰こいつ?
髪が長くて、寝起きなのか寝癖がついててボサボサで、でもって顔が小っちゃくて、さながら人形のような感じ。そして決定的なのは……
「……、これって、胸だよな?」
男には手術でもしない限りできない二つの膨らみが……
「え? でも、アレ? 俺って男だろ? いや、だったら鏡に写ってるこいつは?! だって見た感じ女じゃん? で、何で俺とおんなじ動きしてんの? ……そか、鏡だからか…………て、違う違う! それだと俺がこいつになる訳で、……?」
そこで、いったん言葉を止め……
「ええええええぇぇぇぇっっっ!!?」
結論からいうと、どうやら俺が女の子になったようです……
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