第1章

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  青く澄み渡る快晴の空。 その空を飛行するガンシップが一機。 味気ない金属の壁や床に囲まれた暗い機内では、黒装束に身を包んだ小さな子供が、備え付けられた椅子に一人腰掛けていた。 長く綺麗な銀髪に、整った綺麗な顔立ち。 そんな可憐な容姿とは不釣り合いな状況の中、機内に音声が響いた。 「少尉、今回が貴官にとって初の実戦だ……。今までのようなVR訓練とはまるで違う。分かるな?」 「……了解」 少女は淡白に答え、素早い手つきでゴーグルを付ける。 すると、暗い機内にうっすらと光が射し込み、それはやがて突風と共に機内を大きく照らし出す。 『後部ハッチオープン。視界良好。オールグリーン』 アナウンスが示す通りハッチが開き、少女はゆっくり、前へと歩を進めていく。 あと一歩で空中へと投げ出される―― そんなギリギリの位置に佇む少女のゴーグルには、雄大な大空が写し出されていた。 「リカバリーポイントで落ち合おう。……気を付けて」 「……了解。――行きます」 そう一言呟くと、大空へと飛び出した。
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