919人が本棚に入れています
本棚に追加
/582ページ
すると、同時に草むらが“ガサリ“と揺れ、そこから毛利が転がり出で、更におい被さるように岩倉も姿を表した。
「い、いや、声をかけようとしたらな?岩倉に引き止められて、だな……」
沈黙が流れる中、押し潰されたまま、毛利がしどろもどろに言い訳をした。
そして、岩倉は危険を察知し、毛利が言い訳をしてる間に飛び起きて、カメラを抱えながら毛利を置いて逃げて行った。
「……で?感想があるなら聞こうか?」
土方から放たれた声に、毒を含んだ黒い障気が放たれているのを感じ、毛利は顔をひきつらせながら後退りした。
(ここは素直に土方の味方になるべきだな)
毛利はわざとらしく咳払いをした。
「まあ、アレだ。緒方はもう少し敏感になった方がいいぞ。
平和のために、な」
「平和のために?」
何故そんな事を言われたのか全く理解出来ずに首を傾げている凪に、毛利は乾いた笑いを上げて、逃げるように去っていった。
「……いったいなんだったんでしょうか?毛利先輩らしくなかったですが」
最初のコメントを投稿しよう!