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浩樹は天の助けとばかりに伊藤に聞いた話を説明した。
土方は壁に寄り掛かり、腕を組むと、黙ってその話を聞いていた。
そして、全てを聞いた所で伊藤に質問した。
「伊藤先輩。それは残念ながら俺達にも判りません。
俺達は対抗戦で負けた奴等が、腹いせに生徒会に復讐しようと企んでいるとばかり思ってました。
で、生徒会の中で一番なんとかなりそうな緒方を狙うに違いないと思い、調べてました。
ですが、先輩の話によると学年主任が関わってるらしいとの事。
正直に寝耳に水でしたので、混乱しているというのが本音です」
始めこそ疑った伊藤だったが、土方の顔を見て、本当に何も知らないと判断し、深い溜息を吐いた。
「本当みたいだな。
クソ!緒方さんが何かした訳じゃないのに!
あいつら絶対許せねえ!!」
「俺達もあいつらがこれ以上何もして来ないよう見張りつつ、色々調べるつもりです。
ですからこれからも何かあったら教えてください」
伊藤は「勿論」と答え、部屋から出て行った。
「伊藤ぐらい適当に誤魔化せ」
土方に睨まれ、浩樹はすまんと謝った。
「お前の失態で教頭達は緒方が血縁と誤解している。
隙あらば何をしでかしてくるか判らん。
今は彼女を一人にさせるわけにはいかないぞ」
「ああ、解っている」
浩樹は表情を歪ませながら頷いた。
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