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それから少し経って、凪がストレッチャーに乗せられたまま処置室から出てきた。
眠っているが、疲れもあるせいか顔色が悪い。
「凪!」
土方は凪に駆け寄り彼女の手を握った。
そして彼女の顔を確認すると再び椅子に腰掛け、扉の上のランプを見つめ始めた。
その行動に毛利は首を傾げた。
「土方。緒方に付き添わなくていいのか?」
「……まずはお前の妹の無事を確認してからだ」
「だが、心配なんだろ?」
問われて土方の肩が僅かに揺れたが、赤々と点灯しているランプを睨むように見つめて動こうとしない。
「俺はあいつの代わりに妹の無事を確認する。黙って祈ってろ」
絞り出すような言った土方のそのセリフに、付き添っていた凪の父親は驚いたように彼を見たが、そのまま苦笑して凪についていった。
沈黙が流れる。
痛いくらいに静まり返ったそこで、彼らはただただランプを祈るように見つめていた。
そしてランプが消えるのと同時に全員が扉の前に集まった。
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