第10話 証を勝ち取れ

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「まだです。今までの事を振り返っていたんです。 自分が望みさえすれば、充実した学園生活を送れる事を書こうと思うのですが、切り口をどうするか決めかねています」 「そうか。期限は明後日の朝だがイケそうか?」 「後は寮に戻って今夜中に書き上げます」 凪はそう言うと、鞄に荷物を詰め込み、土方と肩を並べて部屋を出た。 凪は歩きながらそっと土方を盗み見た。 (やっぱり先輩は綺麗だな……) 月夜に照された土方の美しさに、凪は吐息を洩らした。 だが、視線を土方の唇に下ろした瞬間、凪は思わず俯いた。 (ダメだ。無かった事に出来ないよ) 形のいい唇の感触、その後に感じた土方の熱い吐息。 それらが鮮明に思い出され、凪は自分の胸が激しく高鳴るのを必死に手で抑えた。 「凪?」 「な、な、ななんでもないです!!」 そう言われても、人の顔をじっと見つめてきてると思ったら、いきなり俯かれて、なんでもないわけがない。 「だが、お前顔が赤いぞ?一体どうしたん……」 と、そこまで言いかけて土方はハッとなった。
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