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「まだです。今までの事を振り返っていたんです。
自分が望みさえすれば、充実した学園生活を送れる事を書こうと思うのですが、切り口をどうするか決めかねています」
「そうか。期限は明後日の朝だがイケそうか?」
「後は寮に戻って今夜中に書き上げます」
凪はそう言うと、鞄に荷物を詰め込み、土方と肩を並べて部屋を出た。
凪は歩きながらそっと土方を盗み見た。
(やっぱり先輩は綺麗だな……)
月夜に照された土方の美しさに、凪は吐息を洩らした。
だが、視線を土方の唇に下ろした瞬間、凪は思わず俯いた。
(ダメだ。無かった事に出来ないよ)
形のいい唇の感触、その後に感じた土方の熱い吐息。
それらが鮮明に思い出され、凪は自分の胸が激しく高鳴るのを必死に手で抑えた。
「凪?」
「な、な、ななんでもないです!!」
そう言われても、人の顔をじっと見つめてきてると思ったら、いきなり俯かれて、なんでもないわけがない。
「だが、お前顔が赤いぞ?一体どうしたん……」
と、そこまで言いかけて土方はハッとなった。
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